黒田一幸教授 日本セラミックス協会 学術賞授賞


日本セラミックス協会 学術賞
ケイ酸塩−有機ナノ複合体の合成とシリカメソ多孔体への変換

 黒田一幸氏は、層状ケイ酸塩と多様な有機化合物との反応およびナノ複合体の合成を幅広く展開し、有機誘導体合成、カオリナイト有機層間化合物の合成など、これまでに数多くの業績を上げている。特にケイ酸塩有機複合体からのメソ多孔体への変換は1988年に世界に先駆けて報告されたもので、その波及効果は極めて大きく、1992年のモービル社から報告されたMCM-41型のシリカメソ多孔体に先駆けるものであり、これを契機に世界中でメソ多孔体研究が爆発的に展開されている。日本セラミックス協会年会、同秋季シンポジウム、基礎科学討論会においてもメソ多孔体に関する多数の研究が報告されるなど、セラミックス科学技術へのインパクトも極めて大きい。

さらに同氏は界面活性剤を用いた合成ルートとは異なる、全く新規な前駆体設計によるメソスケール無機合成の分野を開拓するとともに、金属・合金系メソ多孔体など幅広い業績を上げている。また同氏が発表したメソポーラスシリカ薄膜は最も優れた構造規則性を有し、今後の無機材料開発の方向性を示している。これらの業績は日本セラミックス協会学術賞に十分値するものとして推薦する。(日本セラミックス協会)

【略 歴】
昭和49年早稲田大学理工学部応用化学科卒業。同54年同大学院理工学研究科応用化学専攻修了(工学博士)。
同年同大学理工学部助手、専任講師、助教授を経て平成元年教授(現理工学術院)。
同14〜19年JST戦略的創造研究推進事業研究代表者。
同19年GCOEプログラム拠点リーダー(早大)

(日本セラミックス協会 提供)