早桜会第21回(今年度第2回)懇話会実施報告

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講師の市橋宏氏

早桜会第21回懇話会を、12月5日(土)15時〜17時、中央電気倶楽部(大阪堂島浜)で開催しました。

今回の講師は、住友化学で長年触媒反応プロセスの開発と工場の合理化研究に携わり、20世紀における固体酸触媒の分野で解決すべき難問の一つとされていた、気相ベックマン転位と呼ばれる新しいε-カプロラクタム合成法の開発と工業化を成功させる上で功績のあった市橋宏氏(1969年山本・森田研修士修了)から、「触媒と私」と題して講演していただきました。

市橋氏は、学生時代は燃料化学研究室で触媒がキーテクノロジーとなる炭化水素の水蒸気分解反応や水素化分解反応を経験し、ここで触媒反応の方法を学んで、入社して以来定年退職するまで一貫して触媒の開発と改良の研究をされました。37年間触媒とともに人生を歩んだことになり、この間の経験を背景を織り込んで語っていただきました。

従来法のε-カプロラクタムの製造法では大量の硫安が副生する問題を抱えており、この解決がラクタムメーカ共通の課題であったが、住友化学ではTS-1ゼオライトを触媒とするアンモキシメーションとよばれるシクロヘキサノンの製造法をイタリアのエニケムから導入し、市橋氏たちが開発した気相ベックマン転位と組み合わせて新居浜工場で工業化され、これは世界で初めての全く硫安を副生しないグリーンケミカルプロセスであったということです。

講演では技術内容の紹介とともに研究室の運営や工場・本社管理部門とのコミュニケーションのあり方などについても話が及び、出席者との質疑や意見交換が活発に行われて有意義な講演でした。 若手の研究者には非常に参考になったことと思います。

講演会の様子


懇親会


懇話会の後は、いつもの居酒屋に席を移し、懇話会の続きの議論、世相に関する話題提供等いつものように盛り上がりました。




(文責 田中)

出席者:
津田實(新7回)、井上征四郎(新12回)、前田泰昭(新14回)、市橋宏(新17回)、田中航次(新17回)、辻秀興(新17回)、岡野泰則(新33回)、脇田克也(新36回)、中野哲也(新37回)、山邑和裕(新47回)、薮田昭典(新51回)、澤村健一(新53回)

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